図面を見ていると、寸法の横や面のそばに「▽」マークがついていることがあります。
これ、実は表面粗さ(面のザラザラ具合)を示す記号なんです。
この記事では、▽マークが表す意味と、現在使われている粗さ記号との違いをわかりやすく解説します。
🔍 粗さ記号「▽」の意味とは?
この▽マークは、JIS B 0031:1979など旧JIS規格で使用されていた表面粗さ記号です。
表面の仕上げ状態(ザラザラ度合い)を示すもので、主に以下のように使われていました:
記号 | 意味 |
---|---|
▽ | 普通仕上げ(旧規格:Ra 6.3 など) |
▽▽ | 中仕上げ(Ra 3.2程度) |
▽▽▽ | 上仕上げ(Ra 1.6以下) |
※「▽の数が多い=より滑らかな仕上げ」を意味します。
【補足】旧JISと新JISの粗さ記号の違いを一覧で確認しよう
古い図面で登場する「▽」記号と、現在主流のRaなどの数値指定。
違いを正しく理解することで、設計意図の読み違いを防げます。
ここでは、旧JIS(▽)と新JIS(Ra)との対応表と、Raとは何か?をわかりやすく補足します。
📊 ▽記号とRa数値の対応表
旧記号 | 表面粗さの目安(Ra) | 加工方法の目安 |
---|---|---|
▽ | ~6.3 μm | 鋳造品、粗い機械加工面 |
▽▽ | ~3.2 μm | 一般的な切削加工面 |
▽▽▽ | ~1.6 μm | 仕上げ切削、研削加工面 |
▽▽▽▽ | ~0.8 μm | 精密加工、精密研削 |
※この対応はあくまで目安であり、図面の仕様や業界によって若干異なる場合があります。
📘 Ra(算術平均粗さ)とは?
Raとは「Roughness Average(算術平均粗さ)」の略で、表面の凸凹の平均的な高さを数値で表したものです。
単位は「μm(マイクロメートル)」で、数値が小さいほど滑らかな仕上げになります。
たとえば:
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Ra 6.3 → 比較的粗い仕上げ
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Ra 0.8 → かなり滑らか、精密加工向け
🛠️ 現場での活用ポイント
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古い図面で「▽」を見かけたら、加工面の粗さレベルをこの表で想定しよう
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現在の製図では「Ra」で指定するのが基本なので、▽→Raに読み替える練習が大切
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面の機能(摺動面、装飾面など)によって必要な粗さレベルも変わる
📝 なぜ古い図面では▽が使われていたの?
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当時の加工技術や計測方法に合わせた表現だった
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粗さの基準が職人の感覚に近かった
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数値化がまだ一般的でなかったため
そのため、▽記号を見る=古い図面の可能性大です。
✅ まとめ
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▽は表面粗さを表す旧JISの記号
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▽の数が多いほど滑らかな仕上げ
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現在はRaやRzなどの数値指定が主流
古い図面を読むときは、粗さの記号も時代によって読み方が違うことを知っておくと、設計意図の理解が深まります。