表面粗さとは?Ra・Rzの違いと図面の見方、測定方法まで解説
製造現場や設計業務でよく耳にする表面粗さ。図面に「Ra3.2
」「Rz6.3
」と書かれていても、意味を理解していないと現場での意思疎通や品質管理に支障をきたします。本記事では、表面粗さの基礎から、RaとRzの違い、図面記号の読み方、測定方法、品質管理との関係まで、初心者にもわかりやすく解説します。QC検定や技能検定の勉強にも役立ちます。
表面粗さの基礎
表面粗さは、製品表面の微小な凹凸の高さや間隔を数値化したものです。見た目だけでなく、製品の性能・信頼性・寿命に直結します。
- 摩擦・摩耗の増減
- シール性・気密性・油膜保持性
- 塗装や接着の密着性

RaとRzの違い
代表的な評価指標がRa(算術平均粗さ)とRz(十点平均粗さ)です。
項目 | 意味 | 特徴 | 向いている用途 |
---|---|---|---|
Ra | 凹凸の高さを平均化した値 | 全体のなめらかさを把握しやすい | 一般加工面の仕上がり管理、工程比較 |
Rz | 高い点5つと低い点5つの高さ差の平均 | 大きな傷・局所的な凹凸に敏感 | 傷の影響評価、密着・摺動トラブルの検出 |

図面の見方(記号と指定例)
図面にはJIS規格に基づく粗さ記号が記載されます。代表例:
Ra3.2
:算術平均粗さ 3.2 μm 以下Rz6.3
:十点平均粗さ 6.3 μm 以下- 加工の必要を示す“(チェックマーク状)”の記号+数値で表されることが多い
工程とのひも付け例(目安)
- 切削仕上げ:Ra 3.2 ~ 1.6 μm
- 研削仕上げ:Ra 0.8 ~ 0.2 μm
- ラッピング・鏡面仕上げ:Ra 0.1 μm 以下

測定方法(触針式/光学式)
触針式
- 針で表面をなぞって凹凸をトレースし、数値化
- 精度が高く、規格との整合が取りやすい
- 接触により微小な擦り傷・摩耗の可能性あり(測定荷重に注意)
光学式(非接触)
- レーザーや顕微鏡で表面を非接触・高速で測定
- 傷を付けない&ラインに載せやすい(インライン検査など)
- 装置コスト・反射率・材質の影響を考慮
測定条件の注意
- 方向:加工目に対して直角が基本
- 評価長さ:規格に準じたカットオフ・測定長を設定
- 環境:温湿度・振動・清浄度を管理(20℃基準が目安)


品質管理との関係
- 粗さ規格を守ることで、摩耗・漏れ・かじり・騒音などの不良を低減
- 工程能力(Cp/Cpk)評価や、仕上げ工程の妥当性検証に直結
- QC検定・技能検定で頻出(図面理解・測定法・基礎統計の結節点)

まとめ
- Ra=平均的ななめらかさ、Rz=傷や大きな凹凸に敏感
- 図面の記号は工程とセットで理解すると実務で強い
- 測定方法と条件管理を押さえるとトラブル予防に直結
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