「図面にあるこの記号、なんだろう…?」
はじめて幾何公差に触れた方がそう思うのは自然なことです。
幾何公差(きかこうさ)は、部品の“形”や“位置関係”の精度を示す記号です。
この記事では、よく使われる平行度・直角度・真円度などを中心に、初心者でもわかるようにやさしく図解で解説します。
✅ 幾何公差とは?一言でいえば「形のズレの許容範囲」
寸法公差が「長さや太さのズレ」を示すのに対し、
幾何公差は“形・向き・位置・振れ”のズレを数値で指定します。
たとえば…
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穴がまっすぐに空いているか(直角度)
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面がちゃんと平らかどうか(平面度)
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軸がずれていないか(同軸度)
といった、「見た目にはわからないズレ」を数値で管理するのが幾何公差です。
✅ 幾何公差の記号一覧(代表的なもの)
図面でよく見る幾何公差の種類を以下にまとめます。
種類 | 説明 | 使用例 | |
---|---|---|---|
平面度 | 面の平らさ | フランジ面など | |
真直度 | 線や軸のまっすぐさ | 軸、レールなど | |
真円度 | 円のまるさ | 回転体、円筒 | |
円筒度 | 円筒の整い具合 | シャフト全体など | |
平行度 | 2面の平行関係 | プレート面など | |
直角度 | 2面が直角かどうか | 側面と底面の関係など | |
同軸度 | 軸が同じ中心を持つか | 軸・穴の芯合わせ | |
位置度 | 中心や穴の正確な位置 | ボルト穴など |
✅ 幾何公差の記入方法【図面記号の見かた】
幾何公差は、次のような構成で図面に記載されます。
たとえば:
✅ 基準(データム)とは?図面に出てくる「A」
幾何公差では、「何に対して正確にするか?」をデータム(基準)で示します。
たとえば平行度なら、「A面に対して平行に」という意味になります。
基準がないと、どの方向に対してズレてよいのか判断できないため、必ず基準とセットで考えるのがポイントです。
✅ 現場でよく使われる幾何公差3選【初心者向け】
① 平行度(Parallelism)
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指定面が基準面に対してどれだけ平行になっているかを示す
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加工や組立時のズレ防止に重要
② 直角度(Perpendicularity)
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部品の側面が底面と直角かどうか
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ケース・ブラケット・金具などで頻出
③ 位置度(Position)どこかで話します
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穴などが設計どおりの位置にあるかどうか
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ボルト穴やピン穴のずれ防止に必須
✅ 幾何公差を使うと何がいいの?
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✨ 設計意図が明確になる
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✨ 不必要な加工を減らせる(コスト削減)
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✨ 検査基準が明確になり、トラブル防止になる
図面通りの加工・検査ができることで、製品の品質安定とコスト管理が実現します。
🔎 まとめ|幾何公差は“見えないズレ”を数値化する重要なツール
幾何公差は難しそうに見えますが、意味を知れば図面を読むのがぐっと楽になります。
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寸法公差が「大きさのズレ」なら
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幾何公差は「形や向きのズレ」
それぞれの役割を理解して、図面を読み解けるようになれば、品質管理・設計・加工すべての現場で活躍できます!
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✏️ もぐのすけのひとこと
最初はとっつきにくい幾何公差ですが、少しずつ見慣れていくと「精度管理の大切さ」が見えてきます。
今後も現場や転職活動で役立つ“図面の読み方シリーズ”を続けていく予定です!